ネットラップは死んだのか? World Wide Words2018開催によせて

今年もやってくる。
良かった。昨年で終わらなくて。

2018年8月4日、渋谷WOMBにて開催されるイベント「World Wide Words」。
2013年から毎年行われているイベントであり、年に一回のネットラップの祭典だ。
出演者には主宰のらっぷびとを筆頭に、トップハムハット狂、Jinmenusagi、電波少女など豪華な面々がずらりと並んでいる。

このイベントの特徴として、出演陣によるWE ARE THE W.W.Wというマイクリレーが毎年行われることがあげられる。

これは昨年のものだ。
個人のスキルはもちろん、トラックや映像のクオリティも非常に高い。

ill.bellがverseで歌っているようにWorld Wide Wordsは昨年で終わろうかという雰囲気が漂っていた。
理由としてはネットラップ、いや、ニコラップという界隈が下火になってきたことがひとつあるだろう。
ネットラップ出身と言われるアーティストの多くはニコニコ動画にラップを投稿して注目を浴びてきた。
ニコニコ動画が衰退していくことはすなわち、ネットラップが衰退していくことと同義なのである。




いまやネットラップという言葉は死語だ。
2000年代はまだ自分の音楽をインターネットにアップするということのハードルが高かった。
動画を投稿するという行為自体にまだ市民権がなかった。
インターネットをやってるやつは全員広い意味でオタクだったんだ。
しかし10年代に入って急激にネットへの入り口は広がった。
オタクじゃない人間もネットという活動場所を使うようになった。

ここ数年で急速にインターネットとリアルとの境界線は曖昧になった。
Youtube、Soundcloudに音源をupしている人間のことを”ネットラッパー”とは言わなくなった。
もうそれが当たり前になってしまったからだ。

ネットラップ全盛期の当時は現場のラッパーとネットラッパーが相容れることは絶対にないと思っていた。
もちろんどちらでも活動しているラッパーもいたが、ネットラップへの偏見は大きかった。
ネットとリアルは明確に区別されていた。
でも今は違う。
たとえばこのマイクリレー。

現場とネットの融合をテーマにしている。
もうどちらか一方の世界に住むという考え方ではなくなってきているのだ。
ただ単にカッケーやつがフォロワーを得て上がっていける世の中になった。

じゃあもうネットラップは必要ないのか?
全員がごちゃ混ぜでラップしていけばいいのか?
僕はそうは思わない。

ネットラップの一番の特徴はリリックだ。
現場のヒップホップの根底には不良文化があり、リリックにはストリートの生き様が少なからず求められている。
リアルな言葉を吐いているラッパーが正解で、他はダサいみたいな風潮が正直まだ残っている。
ネットラップはそういうリスナー向けではない。
単純にラップが好きで、ラップを使って自分を表現したいだけのオタク達が歌詞を書いている。
僕はそんな音楽で楽しみたい。
ワルいやつらの音楽には憧れない。
ネットでしか出来ない音楽もある。それを求めているリスナーもいる。
ヒップホップが好きだからこそ、色んなジャンルのラップを楽しみたい。
全てが混ざり合うことが必ずしも正しいとは限らない。




ネットラップは死んだともう何年言われてるだろう。
確かに2010年前後の一番盛り上がっていた時代と今とは違う。
取り巻く環境も残っている人間も変わってしまった。
それでもWWWは開催される。ネットラップという文化を残そうとしている人達がいる。
ネットラップは今、再生の時期に入っている。
2018年のWWWは復興の起爆剤になれるだろうか。
世間のラップブームが終わってしまう前にまたネットラップも活気を取り戻してほしいなと僕は思う。

それでは。

オモテ

音楽について思うところを書いています。