THEE MICHELLE GUN ELEPHANTへの熱狂

僕が物心ついた頃にはもうTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTは解散していた。
アコースティックギターを初めて買った当時、弾き語りの教則本で彼らに出会った。
誰もが知ってるようなポップスのコード譜が並ぶ中、ミッシェルの世界の終わりがそこにあった。

すぐに興味が湧いたわけではなかった。
有名なバンドなんだろうなとは思ったがスルーしてしまった。
今思うと勿体ないことをした。彼らの音楽にもっと早く触れていれば僕の音楽の世界も広がっていただろうと思う。

彼らに熱狂したリスナーの思いは数年後に理解した。
様々な曲を聞いて、ライブ映像を見て、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは伝説のロックバンドだったのだと悟った。

ミッシェルは特別なバンドだ。どう考えても唯一無二だ。

第2回フジロックのミッシェルのライブ映像は何度見ても衝撃を受ける。
日本人がまだロックフェスというものが何か分かっていなかった時代。モッシュで人が死にかけている。
圧死直前まで気持ちが高揚するほど、当時の若者にとってミッシェルは特別だったんだろう。
日本における大型ロックフェス黎明期ということもあって、運営がまだまだ未熟という側面もあるが、それにしてもファンの熱量が凄い。
何百人、何千人もの人々をこんな状態にするほど、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは魅力的だったのだ。




細身のスーツに身を包み、一心不乱にロックを掻き鳴らす彼らにはカリスマ性を感じざるを得ない。
特にオールバック時代のチバの殺気は物凄い。映像越しにも伝わる緊張感。
ミッシェルは曲自体どこか刹那的だ。
チバのしゃがれた声もそうだし、アベフトシのギターの音色もロックど真ん中でありながらどこか切ない。
それにプラスしてこのビジュアル。惹かれないわけがない。
退廃的な音楽とヒリついた空気感。その場に居たらマジで痺れるだろうな。

サンダーバード・ヒルズはミッシェルの曲で一番衝撃だった曲かもしれない。
“ハローベイビー お前の未来を愛してる”
チバが放つこの言葉に僕は釘付けになった。
後期のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの楽曲はあまり評価されていないようだが、僕は好きな曲が多い。
怪しさを増して、不気味ともいえるほどの雰囲気を醸し出している彼らの音楽をしっかりと愛していきたい。

ミッシェルはバンドシーンを大きく変化させたバンドの一つだ。
ライブハウスを大衆的なものにしたバンドでもあるし、日本にフェスの文化が浸透したのも彼らの力が大きい。
彼らに影響を受けたミュージシャンも数多く居る。
アジカンや9mm辺りの年齢層のロックバンドの大半はミッシェルの音楽を通過してきているだろう。
それぞれ音楽の形は変わっても、ミッシェルの遺した魂は確かに後世に受け継がれている。

現代には残念ながら、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTほどリスナーを熱狂させられるバンドはないんじゃないだろうか。
音楽は使い捨てと言われている今の時代。
僕は昨今の音楽シーンが必ずしもそんなに悲しいものとは思っていないが、ミッシェルが活躍していた20年前に比べると情報量が格段に多くなっていることは確かだ。
心に刺さるバンドにもたくさん出会うだろう。
それぞれのバンドへの熱量はどうしても分散してしまう。
良い音楽が周囲に溢れすぎていて、”ひとつ”への集中は難しくなる。

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTへの熱狂は、あの時代だったからこそ成立したのかもしれない。
あの時代、あのステージでミッシェルが音を鳴らしていたことに意味がある。
タイムマシンが完成したら彼らのライブを当時に戻って見てみたい。
きっと、僕たちの知らないロックスターがそこにいるはずだ。

どの音楽が正義で、どの時代が正義で。そんなことは僕には分からない。
でも、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが正義だってことは確かだ。

それでは。




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